薬師如来像について
薬師如来は、仏教が日本に伝来した最初期から信仰されている仏尊です。東方浄瑠璃浄土(東方にある瑠璃のように清らかな世界)の教主で、薬師瑠璃光如来、医王如来とも呼ばれます。悟りを求めて修行する菩薩であったとき、衆生の苦悩を取り除き、病気を治癒させるなどの「12の誓願」を立て、吾りを開いて如来になったとされます。
*瑠璃:七宝(しっぽう)の一つで、つやのある美しい青い宝石。
現世利益をつかさどる如来として篤い信仰を集め、今も「お薬師さま」として庶民に親しまれる存在です仏像としては、右の掌を肩のあたりで正面に向けた施無畏印(恐れを取り除く)、左の掌を下げて正面に向けた与願印(望みをかなえる)を結びます時代が下るにつれ、左手に薬壺を持っようになりました。
* 現世利益:神仏を信仰することによって、現世において得られる利益をいう。
三尊形式の中尊となる場合は、日光・月光菩薩を左右の脇侍(きょうじ・わきじ)とします。また、奈良の新薬師寺像のように、光背に配された小さな仏像(化仏)などとあわせて七仏となったものを「七仏薬師」といし、息災や安産などか祈願されました。 ニッポンの国宝100 VOL14より